教えて!大上先生

令和6年2月に行われた大上勝行先生特別講演で寄せられた「大上先生への質問」に対する回答です。

五臓と五味、五行色体表の違い。特に米について教えて欲しい。

東洋哲学では、あらゆるものを陰陽や五行に分類し、その性質や働きを現しています。それを表にしたものが五行の色体表で、『素問』『霊枢』から引用しています。しかしややこしいことに、五行の色体表の中には、五味のように他の分類と違う性質を現しているものがあります。

たとえば木の基本的な性質は発生や発散ですが、五味では「酸」という反対の収斂を意味する味が配当されています。同じ木の性質として、反対の働きが同居しています。

これは間違いや矛盾ととらえるのではなく、木の中にも陰陽という相反する働きが同居すると考えてください。陰陽や五行の性質には、陰陽の中に陰陽があり、五行の中に五行があります。それぞれが相反するものでもあり、含有し合い交流するものなのです。五行の中にも陰陽があります。木の中にも相反する発生と収斂の作用が同居するということです。

人間の身体で考えると木に属する肝は血を貯蔵し発生することで人の活動を支えます。と同時に収斂作用で血を肝に集めてくることもしているのです。

最後に「米」についてです。米は五穀では金にあたります。しかし、ここで重視したいのは五穀自体が身体におよぼす働きです。穀類自体が脾胃で腐熟され気血になることから、土の性質つまり甘味の性質があると考えられます。東アジアではその代表が米です。米は甘味の代表として脾胃を補い気血を増やします。